Kindle Unlimitedは需要の先食いに繋がるリスクがある

2016年8月にアマゾンがスタートした「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミッテッド)」ですが、これは月額980円で和書12万冊などが読み放題になるサービスです。当ブログのシステム上、この記事の投稿日時は2015年6月となっていますが、現在は2016年10月ですので、サービス開始からすでに約2か月程度が経過しております。

私もこの「Kindle Unlimited」については、スタート開始時から利用しておりましたが、利用しつつも、非常に違和感を感じたことを覚えております。

といいますのも、私は以前までキンドルで写真集をよく購入していたのですが、1冊あたり約500円程度のコストがかかっていました。それを月に2、3冊購入していましたので、だいたい1,000円から2,000円の出費をしていた状況です。

それがこの「Kindle Unlimited」がスタートしてから、月980円で見放題になりましたので、だいたい多い日では20冊ぐらいを読む日もあります。月になおせば、おそらくは50冊から100冊は980円で読めてしまえるわけです。なので、以前までは2冊読んで1,000円だったのが、Kindle Unlimitedスタート後、100冊読んで980円に変更になったわけです。

これでは、今までお金を出して読んでいたのは何だったのだろう、果たして作者にお金が回るのだろうかという疑問がありつつも、アマゾンがやることだから、最終的にはうまいぐあいに利益につながっているのだろうと思っていたわけです。

けれども、最近、講談社が発表したプレスリリースによると、このキンドルアンリミッテドに配信していた本がアマゾン側の都合で一方的に配信停止となり、また、1,000程度にのぼる配信も一方的に削除された事態が発生しています。

これはつまり、利用者が多すぎて、とてもペイできないからという理由のようなのですが、常識的に考えてもコンテンツがタダ同然で配信されているわけですから、アマゾン側は大幅な赤字につながっているのだろうと思います。

もし、これをやるとするなら、980円ではなく、おそらくは2,500円から3,500円程度の価格設定をしないとサービスが成り立たないはずですので、おそかれはやかれ、何らかの形でこのサービスは終了になるものとぼくは考えております。

けれども、読みたいコンテンツは、この2か月間にすでに読んでしまった人が多いと思います。いわば、需要の先食いということになったのではないかと思いますが、出版社側にとってもこれは大失敗だったのではないでしょうか。

僕から見れば、出版社ともあろうものがこのような対応をして、極めて滑稽に感じているのですが、作者や本を大切にするという出版側の基本的な姿勢が欠けているのだろうと思います。月額制で本にタダ同然の値段をつけるあたりが、昨今の出版業界が衰退している要因なのではないかと僕は考えています。