PODというのは「プリント・オン・デマンド」の略ですが、出版業界で注目されはじめている分野です。今までは大量に印刷し、一度に市場に流通させるのが一般的でしたが、このPODシステムの活用により、注文がはいった時に、注文が入った数だけ印刷して消費者の元に届けることができます。
なので、在庫を大量に抱えてしまうリスクがなくなり、また海外の出版物なども輸入する必要がなくなるため、日本に居ながら短時間で書籍を入手できるメリットがあります。
加えて、小ロットからでも出版できるので、ニッチな分野の書籍でも出版しやすくなりますし、基本的にデータさえあればいいので、今後は絶版本がなくなっていくかもしれません。
出版社側では在庫を抱えなくて済むというメリットがありますし、加えて、一般の読者側でも絶版で読みたい本が入手困難になり、オークションなどで高値で入手するしかなくなるリスクを抑えることができます。
電子書籍とPODによる出版業界の革命により、既存の本屋さんはさらに厳しい時代になっていく可能性もあります。
すでにアマゾンなどではPODによる書籍も出始めておりますが、現在の市場規模は2900億円程度とみられているようです。ただ、横ばいの傾向が続いているようで、なかなか市場規模が拡大していかないようです。
おそらく、カラー印刷などはコストがかかるでしょうし、小ロットの場合はそれほど絶対量が見込めないため、印刷業者のうまみがないのかもしれません。
いずれにしましても、効率的なIT技術の活用や印刷プリンタの発達によっては、市場規模が拡大する可能性もあり、出版のすみ分けがされるものと予測しております。
とりあえずはPODで出版してみて、反応がよく部数が伸びるようなら、大量印刷により出版するといった形に変化していくものと思われます。